私は百年前のコルトーやラフマニノフといったピアニストに憧れを感じます。
軽やかなきらきらした音や、テクニックを感じさせない、ふっと音楽だけが立ち昇ってくるような演奏に魅了され、ついつい顔がほころんできてしまいます。それは懐古趣味やノスタルジーではありません。より作曲家の生きていた時代に近い彼ら天才達の演奏は、説得力と遊びと気品をもってこの今、私に感動と驚きを与えてくれます。
今回録音で弾かせていただいたニューヨークスタインウェイのCD368は、そんな彼らの時代、百年前のピアノです。本当に良い楽器、良い状態で保たれている楽器は消耗品でも骨董品でもありません。名手達の音楽的な理想を表現するために改良されていったピアノ、その時代のピアノを弾くことは、私には簡単なことではありません。しかし、彼らのような響きを一瞬でも、感じていただけることを目指して挑戦することが私の使命と思いました。シューマンのファンタジー溢れる夢のような世界をお伝えすることが出来たら、そんなに嬉しいことはありません。
須江太郎
「シューマン 謝肉祭」9/26(水)より CD発売いたしました。 3000円(税込)
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